今朝の南日本新聞の一面には、「鹿児島の危機」を感じさせるようなデータに関する記事が、立て続けに掲載されていました。
ひとつは、中央最低賃金審議会の答申が出て、鹿児島県が所属するDランクグループは、最低賃金を26円引き上げるよう目安額が示されました。
今後、各地方の最低賃金審議会における議論を経て、最低賃金が決定されることになるわけですが、私の目を引いたのは、Dグループの中でも、たった1円ではあるのですが、他県よりも最低賃金が低くなっており、実質的に全国最低の賃金水準(時給761円)となっている「鹿児島県」の文字。
鹿児島県の基幹産業である農林水産業や観光産業は、九州他県と比較した場合、好調であるという認識なのですが、それでも中小・零細企業含む県内企業にとっては、1円でも低い賃金水準が必要ということでしょうか。
最近、知識経営(ナレッジマネジメント)の本を多く読んでおり、そこでは「人材こそが価値を産み出す資本」であることが強調されており、人材獲得のための競争が繰り広げられている様子が描かれています。
鹿児島県の産業政策が誤っているのか、それとも、県内企業の思考法が旧来の考えから脱出できてないのか。
いずれにしても、企業側の実態を精査の上、鹿児島県における産業育成と人材確保の両面から、適当な賃金水準について議論が深めていく必要があります。
もうひとつも、人材育成に関する記事だったのですが、全国学力テストにおいて、鹿児島県内の公立中学校の平均正答率が全教科で全国平均を7年連続で下回っているという、厳しい結果に。
テストなんていうものは水物だし、1、2回であれば気にはしないのですが、7年連続となると、構造的な問題が隠れているような気がします。
小学校・中学校の学力は、その後の専門的な学力を身に付けるための大事な土台となり、ましてや数学と国語という、論理的思考とコミュニケーションに関わる教科。
この土台が揺らいでいるとなると、鹿児島でイノベーティブあるいはクリエイティブなことができる、いわゆる「優秀な人材」がますます少なくなるのではないかと懸念します。
鹿児島県は、長年にわたり、東京大学をはじめとする有名大学に多数進学する「教育県」であるということが真しやかに囁かれてきましたが、大学進学の実績以外の指標で、教育の有り様を検証していかないと、気が付けば、新しい時代を作る人材層が育ってないという問題が起こるかしれません。
鹿児島の将来に危機感を覚えた朝でした。