マキアヴェッリ先生の研究室
Openness, Fairness, and Transparency
02 Book Review(書評)

枝廣淳子[2018]『地元経済を創りなおす:分析・診断・対策』(岩波新書)

疲弊する地域経済のどこに課題があり、その課題をどうやって解決するか。

現状をまず可視化して、お金や雇用を外部に依存する割合を減らすための考え方やツールについて紹介されています。

現状の可視化手法について、産業連関表や地域経済分析システム(RESAS=リーサス)の活用が書かれています。

地域における基幹産業は何か、何を戦略産業として位置づけるのか、という特定地域の経済活性化に関する大きな方針を策定する際には、これらのツールを使いこなすスキルは求められると思います。

考え方については、「漏れバケツ」モデルなるものを提示していますが、これについては岡田知弘の「地域内再投資力論」の焼き直しのような感じで目新しさは感じませんでした。

昨年は地方自治体の公募案件を何件かチャレンジする機会をいただきましたが、企画提案書に記載する事業目的について、安易に「交流人口・関係人口の拡大」と書く担当者が多く、指導・改善を行いました。

自治体が最終的に求めているのはそれではなく、それよりも先にある地域経済の活性化かもしれないし、その手前にある地域内企業の売上拡大かもしれないのに、その真意を汲み取ろうとせずに、使い回しのフレーズのように濫用している印象です。

そうすると企画提案を受ける側とすれば、「こいつらわかってねえなあ」「求めているのはそこじゃないんだけど」という思いが先行し、擦れ違い生じるわけです。

要するに、企画提案の詳細を見てもらう前に、既に勝敗が決しています。

このことを回避するためには、地域経済の活性化に関するマクロ的視点を忘れずに、ミクロの施策を提案するという、「鳥の目と虫の目」の視点を大事にする必要があると考えます。

鳥の目のマクロ的視点は、地域経済学の専門的な知識があれば、より雄弁に語れるようになりますが、少なくとも下記の図に書かれたような域内所得・域内消費・域内投資・域内調達を増やす方法を自治体は模索していて、我々の提案はどの部分を拡大させるための施策なのか、それは地域経済のどの部分に効くのかということを意識する必要はあるかと。

「地元経済」という言葉を用いて、地元の各主体(アクター)間の連携・協働を中心に置いた事例紹介は興味深い内容が多かったです。

地域経済を如何せんと考えている方には、示唆に富む内容が多い一冊だと思いますので、是非、手に取って読んでみてください。

評価レビュー:

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マキアヴェッリ先生
フィールドサイエンティスト。 地方自治体、航空会社、デジタル企業とキャリアを重ねながら、地域課題・社会課題の解決につながるプロジェクトのマネジメントを推進中。 #PPP #PFI #価値共創 #地域創生 #カーボンニュートラル #サステナブル経営 #パーパス経営 #EBPM #ソーシャル・イノベーション