『クーリエ・ジャポン』に掲載されたBloombergからの転載記事。
日本はいま最高にクールなのに自国文化の売り方を知らない | 電通や博報堂に任せた「クールジャパン」の失敗に学べ | クーリエ・ジャポン https://t.co/YvqwmsyUBR 公的部門がマーケティングやブランド戦略に疎すぎるのが問題の本質。
— マキアヴェッリ先生 (@EPYON_FELIX) October 29, 2019
国のクール・ジャパン政策が失敗している要因について、コンテンツの本質や消費者ニーズを詳細に掴んでいるエンターテイメントプロダクション会社を蔑ろにして、電通や博報堂などの大手広告代理店に丸投げしている実態を厳しく批判しています。
日本政府もずっと、「グロス・ナショナル・クール(GNC)」とも呼ばれるものの可能性に気づいてはいる。
だが、この流行をフル活用しようという政府の下手な試み「クールジャパン」構想は、ほぼ失敗している。政府は「電通」や「博報堂」といったトップ広告代理店に多額の公的資金をつぎ込んだが、こうした企業の努力はほとんど目に見える成果をあげていない。
新しい戦略が必要なのだ。政府は電通や博報堂などの仲介機関を通す代わりに、エンターテイメントプロダクション会社自体に製品輸出を促すため奨励金や官僚的圧力を用いるべきだ。
日本の文化的威信を活用してほかの製品を売り込むために、政府は現在委託している大企業の代わりに小規模のマーケティング・広告会社に契約を発注すべきだ。また、外国市場進出に成功している企業に資源を割り当てるべきだ。
この記事は国のクール・ジャパン政策をめぐる問題指摘なのですが、各自治体が実施している観光や特産品のプロモーションについても、大手広告代理店への依存が指摘できます。
自地域の観光の売り方を知らない自治体職員にとって、契約書を交わすだけで、プロモーション事業をひと通り実施してくれる広告代理店の存在はありがたいとは思いますが、問題は、自治体側で広告代理店との間で目標設定を行ったり、事業効果の測定方法であったり、あるいは、目標に達しなかった場合のペナルティなどを明確に共有していないケースが多いことです。
事業を実施することが目的化していて、効果や成果は後付けの理屈で誤魔化すというパターンが往々にしてあります。
本来であれば、観光客に近いところで観光客のニーズを把握し、観光のコンテンツや移動手段を提供できる会社に対して、然るべき資源を配賦すべきだとは思うのですが、広告代理店がどのような存在で、どこまでが責任領域なのかを知らない(知ろうとさえしない)自治体担当者にとっては、前例踏襲の壁を破ることは難しいと思います。
逆に言えば、大手広告代理店にとっては、このような需要があるからこそ、クオリティはさておきながら、必要なサービスを提供しているわけで、自治体と大手広告代理店にとっての合理性や効率性は担保されているわけです。
もちろん、そこには本来恩恵を受けるべき住民や地域企業の存在などは全く視野には入っていないのですが。