今日は南国鹿児島の桜島も冠雪が見られるほど寒い一日でしたが、しがないサラリーマンは今日も営業行脚。
寒さに耐えることができ、動きやすく、ついでに、少しネタを仕込むため、本日のアウターはMA-1ジャケット(地球連邦軍仕様)を着ていきましたが、誰からもツッコミがなく終わりました。
さて、地域観光開発に対する私見について、昨日の記事で書いたところ、多くの読者から反応をいただき、各人各様の地域開発のあり方を議論させていただきました。
その議論を経る中で、もっとクリアーにしておいた方が良いと思う論点がありましたので、今回は地域のブランド化におけるPOPとPODについて書きたいと思います。
私が各地域にお邪魔させていただき、各地域の観光資源(コンテンツ)を伺った際に、地域側からの回答として多いのが「自然・食・温泉が豊富」と強調されること。
これはブランド理論(ケラー&コトラー)から見れば、先行する有名観光地と共通する要素(=プロダクトで言えば「基本品質」)で、POP(Point of Parity=同質点)と言えます。
POPは、誰もがイメージを共通しやすいし、既に多くの顧客を抱える市場にアクセスしやすくなるため、顧客獲得の機会を広げることができるという効果を得ることができます。
ただ、POPだけでは顧客獲得の機会(可能性)があることを言っているだけに過ぎず、そこから顧客獲得を図るためには、POD(Point of Differences=差別点)が重要です。
既に多くの顧客を抱える市場では、他ブランド(競合他社)が参入しており、自社ブランドを顧客に選んでもらう必要がありますが、差別点は、顧客に違いを理解してもらうための訴求点と言えます。
そして、各地域が最も苦手とするのが、このPODをクリアーにすること。
なぜなら、PODをクリアーにするとは顧客を動かすための誘因を把握した上で、適切なコミュニケーションを選択することが不可欠であり、深く顧客を理解していないと到達できない水準だからです。
えてして地域側が行いがちなのは、自分たちにとって「都合の良い」(=来てもらえそうだと勝手に思い込む)顧客を感覚や想像で思い浮かべて、地域の観光資源の発掘や情報発信も、自分たちが確保しているコミュニケーション手段を選択するという安易な道を選ぶこと。
なぜPODが欠落してしまうかといえば、そこには「企業間競争」や「地域間競争」という競争概念が抜け落ちており、(言い方が悪いですが)「井の中の蛙大海を知らず」という状態に陥っているから。
多くの地域を知った上で、POPやPODを抽出できる人材がいないと、地域の観光開発の究極の到達点であるブランド化には到達することが難しいのではないかと考えます。
観光産業をはじめとするホスピタリティ産業に携わる関係者が、まずは最初に読むべき1冊。この本の内容を理解せずして、マーケティングの上位概念であるブランドは理解できないと思います。
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ブランド理論の大家であるケラーが書いた教科書。これまた分厚い一冊で、抽象度の高い内容で理解しにくい面もありますが、折に触れて読み返すことで徐々に理解を深めることができます。
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分厚いテキストで「勉強」というイメージになりがちな前2者以外で、より実務的な観点から、企業事例を踏まえてブランド理論を学びたいのであれば、アーカーがお勧めです。とはいえ、マーケティングやブランド理論に関する用語は出てくるので、最低限の知識は必要ですが。
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