月刊誌『ガンダムエース』で長きにわたり連載されてきたArk Performanceの『ジョニー・ライデンの帰還』が無事に完結しました。
ArkPerformanceの作品は、『ギレン暗殺計画』や映像化された『Twilightアクシズ』も同様なのですが、ガンダムの世界観に巧みにミステリー的要素を取り入れていると評価しています。
今回の『ジョニー・ライデンの帰還』についても、「主人のレッド・ウェイラインはジョニー・ライデンなのか?」という謎から、「ひた隠しにされてきたミナレットとは何なのか?」「ミナレットに納められた『ザビ家の復讐装置』とは何なのか?」と、ひとつの謎が明らかになれば、次の謎が深まるという目白押しの展開です。
本作品は、宇宙世紀史で言えば0090年と、ちょうどハマーン・カーン率いる第一次ネオ・ジオン戦争(0088年)と、シャア・アズナブル率いる第二次ネオ・ジオン戦争(0093年)との間に位置する時期で、Ark Performanceの過去作品で登場した人物たちが再登場するのみならず、0087年のグリプス戦役以後、行方不明となっていたシャアも登場します。
グリプス戦役以後のシャアの消息については、あまり語られる作品はなく、いわば宇宙世紀史のミッシング・リンクだったわけですが、本作品で、『逆襲のシャア』に至るシャアの雌伏の時期における活動実態が明らかになりました(公式史として位置づけられるかどうかは別として)。
宇宙世紀史のオーパーツとも言うべきサイコフレームの試作品が搭載されたモビルスーツを駆り、『Zガンダム』ではMS戦で圧倒されていたヤザン・ゲーブルを軽くあしらい、歴戦の勇士であるキマイラ部隊のエースパイロットたちとの集合戦を物ともしない無双ぶりを発揮するシャアの雄姿を見ることができます(私の記憶する範囲では歴代最強かもしれない)。
イングリッドのMSに搭載したバイオセンサーが発動した際に、「君はまだそこに居るのか?」と、バイオセンサーに残ったカミーユの残留思念を感じるシーンは、ガノタにはたまらないシーンです。
シャアの登場以来、すっかり主役交代が行われた感がある『ジョニー・ライデンの帰還』ですが、過去の懐かしいMS機体がリファインされて活躍する戦闘シーンは読み応えがあるし、各キャラクターの過去が織りなす人間模様も魅力的な作品で、無事に完結してくれてありがとうと言いたい作品でした。
評価レビュー:
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