発売から1ヶ月近くが経過し、ようやく書評を書くことに。
この間、会社の事業戦略やマーケティングに関する資料を作成したり、あるいは、会議に参加したりなど、前職である行政職員とは全く性質の違う仕事に取り組んでいました。
その影響もあったのか、ぐっちーさんの追悼本ともいえる本書についても、読む視点が大きく変化していることに気付きました。
前職時代に、私がぐっちーさんの書籍を全部読んだのは、豊富なビジネス経験に基づいた地方創生が斬新であったから。
ぐっちーさんと共通していたのが「持続可能性」で、コンサル主導による金太郎飴のような地方創生計画を策定しても、国からの交付金が切れた途端に立ちゆかなくなるという危機感を共有していました。
そのためには、どのようなKPIを達成し、どのような産業を育てていくべきか。
その答えにつながる多くのヒントが本書には書かれています。
地方創生のKPIは人数がターゲットではない。ターゲットにすべきは「どれだけ稼げるか」。 #ぐっちーさんの最終提言
— マキアヴェッリ先生 (@EPYON_FELIX) February 20, 2020
持続的な産業として育てていくという発想。徹底的にもうかるビジネスのスキームを築き、あとは地元の皆さんでビジネスを継続して利益を出し、雇用を生み出す。 #ぐっちーさんの最終提言
— マキアヴェッリ先生 (@EPYON_FELIX) February 20, 2020
ぐっちーさんと言えば、ワインにも造詣が深く、シャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士)にも叙されており、世界中の美食を楽しむ美食家でもありました。
その美食を単に個人的な趣味で終わらせるのではなく、世界中のリッチな方々の嗜好を伝え、地方創生に必要なのが「食」と「観光」であることに、早い段階で指摘されてもいました。
ないない尽くしのサンセバスチャンに地方創生のヒントあり。 #ぐっちーさんの最終提言
— マキアヴェッリ先生 (@EPYON_FELIX) February 23, 2020
このように行政組織の職員であった時代には、地域経済というマクロの視点から、ぐっちーさんの提言を大いに参考にしていたのですが、立場変わって、民間企業で事業戦略を推進する立場になると、どちらかと言えば、消費者の購買行動というミクロの視点から、大きな示唆を受けています。
机上の空論ばかりで現場を知らない学者やコンサルトは異なり、御自身が直接的にビジネスに関わってきたからこそ、消費者のごくごく小さな変化にも気づく感性が磨かれていて、私が感覚的に感じていたことを論理的に説明可能なものとして提示してくれました。
商売で生き残るためには、誰にも負けない品揃えの店が必要で、その目利きが必要。この「タレント」をいかに磨くかが勝負。 #ぐっちーさんの最終提言
— マキアヴェッリ先生 (@EPYON_FELIX) February 23, 2020
カープ女子は親子三代にわたる幅広い年齢層の女性。それを定着させたマツダスタジアムの存在。マーケティング的に優れている。#ぐっちーさんの最終提言
— マキアヴェッリ先生 (@EPYON_FELIX) February 23, 2020
こうやって考えてみると、これから先、ぐっちーさんが新たに書き起こすものは永久に読むことはできないのですが、過去に出版された書籍をはじめとして、今の私には学ぶべきこと、汲み取るべきことが、まだまだたくさん残されていそうです。
ぐっちーさんが残してくれたものにはまだまだ大きな価値があり、故きを温ねて新しきを知ることができることに気付かせてくれた一冊でした。