マキアヴェッリ先生の研究室
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02 Book Review(書評)

『ぐっちーさんが遺した 日本経済への最終提言177』

発売から1ヶ月近くが経過し、ようやく書評を書くことに。

この間、会社の事業戦略やマーケティングに関する資料を作成したり、あるいは、会議に参加したりなど、前職である行政職員とは全く性質の違う仕事に取り組んでいました。

その影響もあったのか、ぐっちーさんの追悼本ともいえる本書についても、読む視点が大きく変化していることに気付きました。

前職時代に、私がぐっちーさんの書籍を全部読んだのは、豊富なビジネス経験に基づいた地方創生が斬新であったから。

ぐっちーさんと共通していたのが「持続可能性」で、コンサル主導による金太郎飴のような地方創生計画を策定しても、国からの交付金が切れた途端に立ちゆかなくなるという危機感を共有していました。

そのためには、どのようなKPIを達成し、どのような産業を育てていくべきか。

その答えにつながる多くのヒントが本書には書かれています。

ぐっちーさんと言えば、ワインにも造詣が深く、シャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士)にも叙されており、世界中の美食を楽しむ美食家でもありました。

その美食を単に個人的な趣味で終わらせるのではなく、世界中のリッチな方々の嗜好を伝え、地方創生に必要なのが「食」と「観光」であることに、早い段階で指摘されてもいました。

このように行政組織の職員であった時代には、地域経済というマクロの視点から、ぐっちーさんの提言を大いに参考にしていたのですが、立場変わって、民間企業で事業戦略を推進する立場になると、どちらかと言えば、消費者の購買行動というミクロの視点から、大きな示唆を受けています。

机上の空論ばかりで現場を知らない学者やコンサルトは異なり、御自身が直接的にビジネスに関わってきたからこそ、消費者のごくごく小さな変化にも気づく感性が磨かれていて、私が感覚的に感じていたことを論理的に説明可能なものとして提示してくれました。

こうやって考えてみると、これから先、ぐっちーさんが新たに書き起こすものは永久に読むことはできないのですが、過去に出版された書籍をはじめとして、今の私には学ぶべきこと、汲み取るべきことが、まだまだたくさん残されていそうです。

ぐっちーさんが残してくれたものにはまだまだ大きな価値があり、故きを温ねて新しきを知ることができることに気付かせてくれた一冊でした。

ABOUT ME
マキアヴェッリ先生
フィールドサイエンティスト。 地方自治体、航空会社、デジタル企業とキャリアを重ねながら、地域課題・社会課題の解決につながるプロジェクトのマネジメントを推進中。 #PPP #PFI #価値共創 #地域創生 #カーボンニュートラル #サステナブル経営 #パーパス経営 #EBPM #ソーシャル・イノベーション