お役所だろうが、民間企業だろうが、マネジャーにとって常に悩みの種となるのが、部下の育成。
仕事の生産性を上げるために、チームワークの効率性を高めることが必要ですが、それで大事なことはやっぱり「報連相(ほうれんそう)」の徹底。
私なんかは新入社員の頃から何度も叩き込まれてきました(実践できているかどうかは別として)。
報告・連絡・相談という言葉はヒエラルキーのあるピラミッド型組織の上下関係をイメージさせるのであまり好きではないので、水平型のフラットな組織を全体とするのであれば、「頻繁なコミュニケーション」と言い換えたいと思います。
E-mailだけでなく、チャットアプリ、Web会議ツールなど多様なコミュニケーションのための手段が誕生しているにもかかわらず、コミュニケーションが少ない部下は必ず存在します。
「それは本人の意識の問題だ」と切って捨てることは簡単ですが、それでは問題の解決につながりません。
粘り強い指導を通じて本人の意識を高めることは大事ですが、それと同時に、それらのツールを用いて、「どんな内容を(What)、誰に(Whom)、どのタイミング(When)で、どのツールを選択して(How)伝えるのか」というリテラシーの部分を強化する必要性も感じています。
仕事で自主性を尊重することは重要であっても、それが放置であってはいけないと考えます。
最近は、各種ハラスメントを恐れるあまり、部下に対して強めの指導・助言を行わず、「自主性」という名を借りた「放置」を怠っているマネジャーが目に付くようになりました。
仕事の基本動作ができてないと、いざ会社のマネジメントの一翼を担うようになった際に、大事な局面での情報共有が疎かになったり、関係者との調整不足が露呈します。
とはいえ、私の経験上、コミュニケーションに関するリテラシー強化(仕事の基本動作の矯正)は30歳までが限界。
その年齢を超えると、「これまでの自分のやり方で通用してきた」という根拠なき自信と実績を拠り所として、上司の指導・助言を率直に受容するどころか、上司に対する反発・反抗を示すようになります。
「私の30代もこんな感じだったかなあ」と部下の姿を眺めながら、状況や立場の変化に対して、なかなか自らの思考や行動を変化させることが人間の惰性=限界を見ています。