「最近、自分たちでも驚くくらい首都圏の大企業から『連携したい』という話をいただくんです。」
秋田県庁の職員から漏れ出た言葉です。
秋田県沖で進む洋上風力発電で、商社や電力会社など様々な企業から注目を集めていることが背景にあります。
政府が発電量を2030年までに1千万キロワット、40年までに最大4500万キロワットとする目標を掲げるとともに、時折しも、主要7カ国(G7)が気候・エネルギー・環境相会合の共同声明に、洋上風力発電は2030年までに7カ国合計で1.5億キロワットに引き上げる(21年実績の約7倍)ことを明記する方向で調整していることが報道されています。
ウクライナでの紛争により、エネルギーと食糧自給の重要性が再認識され、また、気候変動対策の一環として、化石燃料によらないエネルギー調達に対する世界的なコンセンサスの形成と意識の高まりが進むにつれて、新技術による再生エネルギーへのヒト・モノ・カネの投入が加速している印象はありましたが、実際に現地を訪れて、風力発電が大規模に運営されている状況を目の当たりにすると、エネルギー政策と地域経済の有り様について色々と考えさせられました。
洋上風力発電は技術的にも多くの課題があり、安定したエネルギー源としても未成熟であることは承知しつつも、何はともあれ「挑戦する」機会を得ていることはポジティブに受け止めるべきだし、かつ、現状でも大きな経済効果をもたらしていることを勘案すれば、私の目からは好ましい状態に思います。
新規性もない、チャレンジングでもない、街づくりの1トピックスに過ぎない課題を「長年にわたる懸案」と位置づけて、これまで議論が不十分として議論を繰り返してきた地域よりは、よほど将来性のある取組だと考えます。
コロナ禍が終わって、コロナ禍の間にどれだけ新しい種を撒いていたかによって、コロナ禍明けの現在における地域の新たな動きや躍動感に大きな差が出ているような気がします。
停滞よりは失敗しても良いから挑戦できる分野・領域があることが望ましいし、若者が地域に残る、あるいは、他の地域からヒト・モノ・カネ・情報を引き付けることにつながるという観点から地域経済にとってプラスであると、私は評価しています。