チームのために毎週配信しているメールに掲載したコンテンツの公開版です。
今週の注目キーワードは「インパクト加重会計」。
財務や会計面で直接的に評価・換算できないものをどうやって価値換算するのかというのは、実務面からもとても悩ましい問題です。
特に、最近、流行しているSDGsやESGなどは、理念としては高尚であるものの、それによって会社にどれだけの利益をもたらすのか、発生しているのは費用ばかりではないのかと指摘されると、回答に窮することが多いと思います。
だからといって、「社会的使命」というだけで漫然と支出を拡大することは、株主からの圧力もあるということで、説明責任の観点から企業が社会や環境に与えている影響を可能な限り定量化して、それに対する効果やコストを可視化するという検証が進んでいます。
その動きのひとつが、ハーバード・ビジネススクールのジョージ・セラフェイム教授が主導で進めている「インパクト加重会計」。
製品、雇用、環境の3側面で計算手法を提示し、算出額を財務上の利益に組み合わせて表示することで、企業全体のパフォーマンスを捉えるという手法です。
経済価値の評価はわかりやすいのですが、それ以外の社会的価値となると、ステークホルダーのニーズや価値観次第で評価対象となる領域も変化するため、まずは対象領域の特定が重要になりますが、インパクト加重会計では「製品」「雇用」「環境」という観点から着手していることが特徴です。
2020年に始まったばかりのプロジェクトで、今後、具体的な成果や評価基準等が明らかになってくると思いますが、「人それぞれだから捕捉しきれない」「難しいから評価できない」と思考停止に陥ることなく、定量把握するための枠組みや手法を真摯に追求する姿勢には学ぶことが多いと思います。