マキアヴェッリ先生の研究室
Openness, Fairness, and Transparency
01 Regional Revitalization(地域創生)

空港経営に関する論点整理

現在、学会に寄稿する論文のテーマを考えています。

空港経営が面白いのは、地域側から見たら「地域政策」「公共政策」という政策論が成立する一方で、企業側から見たら「空港間競争」「地域との共生」というマネジメント論が成立するという点。

かつての地方公務員という立場であれば、政策論の観点から論文を執筆したかもしれませんが、今は民間企業に勤めるビジネスパーソンなので、マネジメント論で論文を書いてみたいと考えています。

その際に重要なことは、ビジネスパーソンにありがちなPL(損益計算書)的な発想=短期的な視野に陥らないということ。

日本の空港経営を考える上では、社会・経済に起こっている構造変化(=外部経済環境)を意識して、10年後から30年後、場合によっては50年後までも視野に入れた中長期における経営のあり方を考えてみたいと。

では、これから空港経営にインパクトを与えそうな外部経済環境の変化としては

  • 人口動態の変化(人口減少、少子高齢化、過疎集落消滅の可能性)
  • 他の交通モード利用者の変化(自動車高速道、鉄道在来線、新幹線)

が想定されます。

これらの変化の中で、「空港や航空はどのように位置づけられるのか」、更に、「労働力不足は空港経営や空港から各地を結ぶ公共交通機関の維持存続に影響を与えないのか」という課題が浮上することになります。

公共性が高く、様々なステイクホルダーが関わる空港経営において、経営主体である企業は経済的利益の追求だけでは不十分で、社会的利益を具現化する必要があります。

空港の民間委託が全国的に進む中で、経済的利益だけの追求では、地域側のステイクホルダーを満足させることはできないし、空港法で「地域との共生」が規定されているため、その理念を実現する上でも、社会的利益も同時に実現を目指すべきです。

企業誘致や観光誘客をはじめとした地域振興の重要なインフラストラクチャーであるからこそ、その活かし方を真剣に検討していきたいと思います。

 

 

 

ABOUT ME
マキアヴェッリ先生
フィールドサイエンティスト。 地方自治体、航空会社、デジタル企業とキャリアを重ねながら、地域課題・社会課題の解決につながるプロジェクトのマネジメントを推進中。 #PPP #PFI #価値共創 #地域創生 #カーボンニュートラル #サステナブル経営 #パーパス経営 #EBPM #ソーシャル・イノベーション