ロードス島といえば、エーゲ海に浮かぶ風光明媚な自然と豊かな歴史に育まれた観光地としても有名な島。
塩野七生の『ロードス島攻防記』では、西欧世界にも勢力圏を伸ばさんと勢いのオスマントルコ帝国が、ロードス島に本拠を構えるロードス騎士団の徹底した反抗に遭い、苦闘の末、オスマントルコの勝利に終わる戦争が描かれていますが、私がロードス島のことを知ったのは、小学生の頃。
しかし、それは、現実のロードス島ではなく、ファンタジー世界のロードス島で、エルフにドワーフ、ドラゴンに魔法使いが登場する『ロードス島戦記』という物語でした。
「ロードスという名の島がある」という一節で始まる作品なのですが、1989年に角川スニーカー文庫で誕生して30周年を迎えたということで、30周年記念サイトも立ち上がっています(→「ロードス島戦記30周年」記念サイト)。
在宅ワークが続く中で、引き籠もり生活を回避すべく、早朝の人通りの少ない時間にランニングをするのですが、その際に、Audibleのオーディオブックで『ロードス島戦記』を聴いており、懐かしさも相まって、そのファンタジー世界にぐいぐいと引き込まれています。
TVゲームで当たり前となっているRPG(ロールプレイングゲーム)の世界観を日本に伝えたのが、『ロードス島戦記』であり、更に、興味深いのは『ロードス島戦記』は、現在で言う「メディアミックス」(特性の異なる複数のメディアを組み合わせることにより、各メディア間の補完と相乗効果によって認知度を高め購入意向を喚起する手法)の先駆けであったこと。
メディミックスの観点から、『ロードス島戦記』がどのように展開されたのかという詳細については、『東大・角川レクチャーシリーズ:「ロードス島戦記」とその時代 黎明期角川メディアミックス証言集』を読んでいただければと思いますが、一言でいえば、ゲームから小説が生成され、そこから更にアニメ動画が制作され音楽CDなど多様なメディアへと展開した、ということ。
メディアミックスという手法が、当時の産業のど真ん中ではなく、一部のマニアのみが嗜好する周辺産業(サブカルチャー)で誕生したことが興味深い事象であると考えます。
ファンタジー慣れした現代の子供たちにとっては、あまり目新しい物語ではないかもしれませんが、40歳過ぎたオッサンが改めて読み直し(聴き直し)ても、やっぱり面白い作品だと思いますので、日本発のファンタジー作品として、末永く愛されてほしいと思います。
[itemlink post_id=”1774″]
[itemlink post_id=”1776″]
[itemlink post_id=”1777″]
[itemlink post_id=”1778″]
[itemlink post_id=”1779″]
[itemlink post_id=”1780″]
[itemlink post_id=”1781″]
[itemlink post_id=”1782″]