「鹿児島空港 国際線再開が来年以降の見通し」という報道に接してがっかりしました。
新型コロナの水際対策緩和で、全国の空港で国際線再開の報道が相次ぐ中で、鹿児島空港 は来年以降の見通しと、明らかに出遅れていることがわかったからです。
かつての同僚や上司に対する批判になるため、この記事を書くかどうかも迷いましたが、本件については、明らかにプロジェクトマネジメントの失敗に帰することができるとともに、鹿児島経済の活性化という観点からも大きなビハインドになるので、忖度なしの公益重視の観点から、反省の材料としていただき、二度と同じ轍を踏まないように助言の意味合いも含めて、記事を書かせていただきます。
まず、私が批判的に受け止めたのは、出遅れの理由を自らの準備不足に求めるのではなく、受入体制の整備や航空会社側の事情に責任転嫁している点です。
県によりますと、鹿児島空港については、検疫や荷物の積み降ろしなどを行う職員の確保や、航空会社による旅客需要の調査や機材繰りなどの調整が必要なため、運航再開は来年以降にずれ込む見通しだ。
この分析が間違っていることは、全国の他空港の動向と比較することにより明らかです。
日本経済新聞の地域経済面でサーベイした範囲で、国際線の運航再開の目処が立った、あるいは調整中の地方空港、航空会社及び再開時期は以下のとおり。
- 仙台空港:タイガーエア台湾(2022年12月。当初は2022年10月)
- 新潟空港:タイガーエア台湾(2023年1月)
- 広島空港:チャイナエアライン(2023年1月)
- 高松空港:エアソウル(2022年11月)、チャイナエアライン(2023年1月)
さらに、松山空港では年末年始にベトジェットによるベトナム・チャーター便が計画されるなど、国際線に関する話題が出てこない鹿児島空港の現状は寂しい限り。
コロナ禍前は、仙台空港や広島空港、高松空港などよりも、はるかに多い国際線の運航便があったこと(運航便最大数43便/週)を鑑みると、このコロナ回復期に後塵を拝していることは率直に反省が必要です。
再開時期が遅れる要因として挙げられている、コロナ禍での離職による人員不足や航空会社の需要調査や機材繰り調整については、どの自治体及び空港にとっても当てはまる競争条件であり、不足しているリソースの割り当てが後回しにされたということであれば、それは即ち「競争に負けた」ということであり、そもそも「競争対策や事前準備をしていたのか?」という部分が、根本的な疑問点として残ります。
4月くらいから、自治体や空港側は国の水際対策緩和を見据えながら、コロナ禍で打撃を受けた航空路線ネットワークの再開に向けて、航空会社への就航(再開)要望活動を行っていたし、航空会社側も各国の政情やコロナ対策を見つつ、自社の生産体制や空港のオペレーションの点検を進めていたということを、私の方では把握しています。
個人的な経験では、需要が本格回復してから動くようでは後手に回っており、航空会社が検討を開始している頃に、どれだけ前向きな検討を行えるだけの材料を提供できたのかが、優勝劣敗を決めることになると考えています。
鹿児島空港においては、ここから是非巻き返しを図ってほしいと思います。