Webツールは使い分けが重要である
県内の中小企業やNPO等との連携に取り組む中で、改めて気付いたことがあります。
それは、公式ホームページを作成せずに、FacebookやInstagramなどのSNSをもって代用している企業・団体が多いこと。
私は公式ホームページの開設を強くお薦めしています。
公式ホームページ=名刺&会社説明パンフレット
一般に、公式ホームページは企業・団体の「顔」と言われます。
現在の消費者の購買活動のベースにはAISAS(Attention→Interest→Search→Action→Share)があると言われていますが、「この企業ってどんな会社なんだろう?」とか「この団体はどんな活動をしているんだろう?」と疑問に思ったら、まずはGoogleで公式ホームページがないかを検索する行動を取ることが多いと思います。
しかし、公式ホームページがなかった時点で、「この企業、大丈夫?」とか「この団体、怪しいな」と感じてしまうのが人の常であります。
公式ホームページでは、企業・団体の出自を明らかにし、現在や将来に対するコミットメントを説明していることが多く、読み手からすれば、アプローチするか否かを判断する上で必要な情報をまとめて入手できるメリットがあります。
公式ホームページを開設しないということは、名刺も持たず、会社説明パンフレットも持参せずに営業活動をしているようなもので、それでどれだけの営業成果を挙げることができるかは想像に難くないと思います。
企業・団体側からすれば、FacebookやInstagramなどで情報発信すれば、読み手に「わかってもらえる」と安心しているかもしれませんが、はたしてそうでしょうか?
SNSのメリット・デメリット
Facebookの欠点は、時間が経過すればするほど、タイムラインで情報が流れ去っていくこと。
言い換えれば、イベント情報など瞬間的な情報発信である「フロー情報」には向いていますが、ある程度蓄積して、まとめていくための「ストック情報」には向いていません。
また、基本的にはFacebook友達の範囲内で情報が留まり、拡散範囲が小さい傾向にあります。
Twitterの弱点は、140文字という記載文字数の制限。
アプリを活用すれば、長い文章を連続投稿により、140文字を超す内容を投稿できますが、読み手からすれば、分断された文章を読まされる形となり、ストレスが溜まります。
ただし、ツイッター利用者による転載(リツイート)が爆発的に生じる「バズる(Buzz)」現象が起きれば、一気に情報が拡散するという面白さがあります。
Instagramの場合、強みとは弱みは表裏一体で、写真のみでアイキャッチできる可能性が高い一方で、写真以外の文字情報を伝えにくいという点にあります。
Attentionを起こすためには、非常に有用なツールなのですが、InterestやSearchまで訴求するためには、相当なインパクトのある写真が必要であり、使い手の写真スキルが問われるツールとなっています。
短時間の動画とはいえ、それを視聴するにはTPO(時間・場所・タイミング)を意識する必要があるため、結構スルーされがちなツールです。
もちろん、InterestやSearchまで到達した消費者に対しては、Action(購買)まで促す強力な推進剤になりますが、購買に向けた「出口戦略」(販売場所や購入方法など)をきちんと用意しておかないと、単なる「オモシロ動画集」で終わってしまう可能性が高いです。
マキアヴェッリ先生流Webツール活用術
私の場合は、公式ホームページを「母艦」として位置づけ、研究会のミッションや主な活動などの基本情報を掲載して、信頼性の高い団体や活動であることを認知してもらうことに尽力しています。
ただ、公式ホームページは一方通行の情報発信になりがちなので、双方向のコミュニケーションを図る観点から、SNSとの連携(連動)を重視しています。
まずは、需要が顕在化しているフォロワー獲得のためにブログを活用して、様々な情報発信や提言などを行っており、これがSNSにおける基本活動となります。
そして、フォロワーを繋ぎ止めるため、Facebookページを開設し、ブログやInstagramの更新情報を投稿して、関係性の継続更新や認知度の向上を図ります。
更に、Twitterも連動させて、より大きな市場可能性のある潜在的な顧客獲得に向けた情報発信をするなど、それぞれの目的や意図に沿ったSNSの使い分けを行っています。
公式ホームページの作成に着手しない理由
このように、公式ホームページを開設して、SNSを戦略的に活用していくことが最適解であることは明白なのですが、中小企業や団体の関係者は、なかなか及び腰で、公式ホームページの作成に着手しようとしません。
その理由は、ホームページの作成に必要な技術の難易度が高いものと思い込んでいて、端から挑戦することもなく断念する傾向にあるようです。
最近では、WixやJimdoなど無料でホームページを作成できるツールもあります。
私も、Jimdoを使って公式ホームページを作っているのですが、Web上に様々な関連情報があり、それを読んでいけば、特に混乱することなく開設することは可能でした。
にもかかわらず、公式ホームページを開設しないのは、単なる「食わず嫌い」であるとしか考えられません。
今やWebツールに関する知識は、基本的な「リテラシー」であり、言い換えれば、語学と同様の位置づけです。
海外市場に打って出る際に、語学を学習するのと同様に、誰もがWeb上で商品情報の検索や商品の購買活動を行うのであれば、Webツールに関する学習は、最低限度のビジネススキルです。
より広範な地域の、より幅広い世代にアプローチして、新たな市場を開拓していきたいのであれば、今やWebツールに関するリテラシーは習得すべき基本スキルであることを肝に命じて、積極的に取り組んでいく必要があります。