どんな話?
エンジェル投資家・坂井大輔に見出された、社会不適合者で孤独な天才ハッカー・是枝一希が、数々のハイテク犯罪を解決しながら、自分の能力を開花させていき、国家の陰謀やテロリズムという巨悪に立ち向かうという物語。
辣腕のエンジェル投資家と天才ハッカーとの組合せという、現代のITビジネスでも有り得そうな組合せですが、異才のコラボレーションによって新たに生まれる可能性を提示してくれます。
ここがすごい!その1:ハイテク犯罪のリスクを喚起
我々が普段便利に使っているパソコンやスマートフォン、更には、カーナビゲーションに、ATMと、インターネットにつながる機器に脆弱性があれば、常に犯罪に巻き込まれるリスクを描いています。
利便性ばかりを追求していると、こんな落とし穴があるかもしれないと、専門家の言葉ではなく、エンタテインメントとして提供してくれているので、バリバリ文系の私でも十分に楽しみながら、リスクを理解できました。
コンピューターの歴史や、コンピューター言語の種類など、素人にも易しく理解できる薀蓄も満載です。
ここがすごい!その2:エンジェル投資家・坂井様の熱い生き様
エンジェル投資家って、ベンチャーキャピタルとの線引きが不透明で、よくわからない存在だったのですが、この漫画を読んで、ようやくその違いが理解できました。
マキアヴェッリ先生の解釈は、自己資金を提供するのがエンジェル投資家で、他人から預かった資金をベンチャー企業に投資するのがベンチャーキャピタルというもの。
どっちがよりリスキーかと言えば、それはエンジェル投資家でしょということで、身銭を切っている坂井様が語る言葉の一つひとつが重くて、熱いです。
ここがすごい!その3:天才ハッカー・是枝君の能力全開
是枝君の天才ぶりは、生来的に獲得されたものではなく、次々と降りかかってくる難題を解決するため、高熱を引き出すほど全身全霊を傾けて集中作業をすることではじめて発揮されます。
試行錯誤を繰り返し、そして、自分だけでなくクライアントやパートナーの力も借りながら、利用できるリソースをフル活用することにより、課題解決と同時に、新たなスキルを身に付けます。
机上の理屈ではなく、現実の事件と向き合うことで、自分自身の新たな可能性を発掘する姿に、挑戦することの重要性を再認識させられます。
宝探しの航海の果てに辿り着く結末は…
現在、連載中のビッグコミックスピリッツでは、最後となるエピソードが展開中であり、間もなく完結を迎えますが、息を呑む展開が続いています。
航海の果てに見る坂井と是枝の夢が何なのか。
期待の眼差しで結末を見届けたいと思います。
レビュー評価:
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