マキアヴェッリ先生言行録
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02 Column(徒然なるままに)

「富野由悠季の世界」展に行ってきました。

富野由悠季 世界初の回顧展

日本アニメ界の巨匠といえば、宮崎駿、高畑勲らの名前が挙がりますが、忘れてはいけないのが『機動戦士ガンダム』の監督である富野由悠季。

宮崎駿や高畑勲らがどちらと言えばアート分野で高く評価されているのに対して、富野作品はがっつり商業主義に巻き込まれているため、世間ではそれほど話題にのぼることはありませんが、アニメ界では業界の発展に大きく貢献したレジェンドの一人として取り上げられます。

そんな富野監督のデビュー55周年、ガンダム放映40周年という節目の年でもあったことから、富野作品が時代や人々に与えてきた影響と、彼が訴え続けてきたメッセージを紐解くための展覧会が、福岡市美術館で公開されており、間もなく閉幕を迎えます。

 

漫画・ゲーム・アニメの展示会

漫画やゲーム、アニメといったコンテンツは、日本の社会・文化の中では決して主流ではなく、一部のマニア(オタク)に支えられている亜流(サブカルチャー)であったはずですが、徐々に市民権を獲得。

私個人にとっても、2008年の「井上雄彦 最後の漫画展」@上野の森美術館、2018年の「荒木飛呂彦原画展 JOJO:冒険の波紋」@国立新美術館に続く、3回目のサブカルコンテンツの展示会の鑑賞となりました。

大濠公園の中を歩いて、福岡市美術館に近づくと、こちらの看板が目に入ってきて期待度MAX。

入場料は大人1400円、高校大学生700円、小中学生500円と決して安くはありません。

チケットを購入して、入場しようとすると、受付で「場内は写真撮影のほか、スマートフォンの使用も禁止」とかなり厳しいセキュリティの注意を受けました。

ただし、出入口付近に設営されたダイターン3のフィギュア前だけは写真撮影OKでしたので、記念に1枚パシャリと撮影(ガンダムに登場するモビルスーツではなく、富野作品ではあえてマイナーなロボットであるダイターン3を持ってきたのは何らかの意図があるのか)。

 

展覧会の構成

展覧会については全部で6部のパートで構成されており、それぞれのパートにおいて映像や絵コンテ、初期設定、ポスターイラスト、模型などの貴重資料が紹介されています。

  • 第1部「宇宙へあこがれて」
  • 第2部「人は変わってゆくのか」
  • 第3部「空と大地の間で逞しく」
  • 第4部「魂の安息の場所は何処に?」
  • 第5部「時の涙、流れゆくその先へ」
  • 第6部「大地への帰還」

富野作品に親しんできた私にとっては、『機動戦士ガンダム』シリーズはもとより、『聖戦士ダンバイン』『リーンの翼』『重戦機エルガイム』なども視聴しており、トミノワールドを深く理解しているつもりでした。

しかし、展示会をじっくりと鑑賞していくうちに、SF映画に強く影響をされながらも、リアリズム的思考を追求した若かりし頃の富野監督の矛盾や葛藤、『伝説巨人イデオン』が抱えた人間の意思エネルギー(”イデ”)と文明どうしの抗争と消滅という大きなテーマ、そしてバイストン・ウェルというファンタジー世界と個人の意思を超えて発現する生体エネルギー”オーラ力”に込められた富野監督の意図と願いなど、「トミノロジー」が、次から次に明らかになっていきます。

気が付けば3時間近くを展示会場で過ごしていましたが、それでも、自分の中で十分に咀嚼できなかったため、これは展示会図録を購入して、時間をかけて理解を深めていくしかないと会場を後にしました。

 

富野由悠季の思想(トミノロジー)の解体

富野監督はアニメ監督という役職にとどまらず、自らの作品を掘り下げた小説を執筆したり、主題歌の作詞を担当したり、あるいは、様々な分野の人々の対話など、その思想の深淵に近づくための材料を多々、提供してくれています。

私も富野監督が執筆したガンダムシリーズの小説を読んで、”ニュータイプ”という概念に深い共感を覚えましたが、今回の展示会を通じて、ニュータイプだけではない、”イデ”や”オーラ力”といった新たな概念に対する興味・関心も湧いてきました。

それらを体系的に理解するため、会場で販売されていた以下の書籍を購入しました。

  • 展覧会公式図録『富野由悠季の世界』¥4,320
  • 『富野由悠季 全仕事』¥3,024
  • 『機動戦士ガンダム40周年記念オフィシャルブック』¥2,160

そして、忘れてならないのは、展示会開催記念ガンプラ「MG 1/100 ガンダムF91 Ver.2.0 ORIGINAL PLAN Ver.」¥4,860。

数多くガンダムのモビルスーツの中で、なぜF91であったのか?

その答えもパッケージに記載されていました。

映画からTV作品へとつなげて、ひとつの物語として昇華することができなかった富野監督の悔しさと後悔の思いが込められていました。

私にとって、長年の間、お付き合いしている作品の作り手である富野由悠季監督。

その思想の深淵の一部に触れて、更にその先を覗いてみたいと思うことができた、充実の展示会でした。

 

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マキアヴェッリ先生
Director of Business Strategy Department. #イタリア好き #Apple信者 #経済学修士 #スローシティ伝道師 #空港おじさん #ガンダムおじさん #薩摩藩脱藩浪人