前稿では「転職によって得るもの」を書いたので、今回は「転職によって失うもの」について書きたいと思います。
公務員から民間企業への転身なので、失うものと言えば、やはり「安定性」だと思います。
具体的には、
- 犯罪行為を犯さない限りは解雇されない
- 定期的な昇給
- 見通しやすいキャリア
などを挙げることができます。
言い換えれば、自分でも歩かなくても、自動的に上昇するエスカレーターに乗っているようなものであり、上司や先輩の姿を見ていると、当該年齢に達した時に「大体こういう状態になっていて、給与もこれくらい」とイメージができます。
公正・中立の立場で、公益に資する政策を判断し、推進するためには、政策立案者本人が生活に不安を覚えながら仕事をするようでは、どこかで歪みや恣意性が生じるリスクもあるので、制度として生活を保障しようという趣旨は十分に理解できます。
他方で、デメリットとしては、制度的に保障されているがゆえに、社会情勢の変化であったり、地域住民の生活との乖離に無頓着になりがちという面もあります。
ここらへんの認識のギャップが、謂れなき公務員バッシングの要因であったりするのかなあと。
また、公務員制度の特徴である身分保障や生活保障も、かつてほど万能ではなくなっている面もあります。
これは、端的にいえば財政赤字のためです。
「無い袖は振れない」ので、運営のための財源確保のための給与や退職金削減などは、もはや「禁じ手」でも何でもなくなっています。
この背景としては、先に挙げた社会情勢の変化や地域住民の生活との乖離に無頓着であるがゆえに生じた公務員バッシングの影響もあると思います。
要するに、制度として安定的であったはずの公務員制度が、徐々に揺らぎ始めていて、不確実性が高まっているという状況であると認識しています。
そもそも法律や制度というものは、一定の社会情勢の影響下で確立されたものであり、社会情勢に変化が起これば、随時、見直しや改革が行われるものです。
それが未来永劫にわたって不変であるという認識を持つこと自体がおかしいことであり、今後、公務員制度にも劇的な変化が起こる可能性があります。
そのリスクを回避するためにどのような「備え」をすべきなのか。
制度内での対応・対策を講じることも可能だろうし、あるいは、制度の枠外における新たなルールに適応していくという方法もあるでしょう。
少なくとも、自分自身のキャリア選択を行う必要がある時代に突入しつつあるという認識は持った方が良いかもしれません。