昨日投稿した上海駐在OB/OG同窓会での話題。
あまり深く話すと「暗い気持ちになるから」と入口部分での議論に止まったのですが、最近の急激な円安進行による日本の先行きに対する危機感みたいなものを皆が認識していることを確認できました。
これは皆が駐在員として海外での生活を経験しており、円安によって購買力が急激に低下することを肌感覚として理解しているからだと思います。
我々が駐在していた2010年当時は1万円で800RMB(人民元)と交換できたのですが、今は500RMBとしか交換できない状況。
何もしてないのに資産が目減りしていくわけで、これは普段から国内で円のみで生活をしている人には実感できない不安感を煽ります。
海外のインバウンド観光客が日本旅行を強く希望しているのは、日本に魅力的な観光資源があるというよりも、日本の安さ(”Cheap Japan”)が際立っているからであり、コロナ禍による経済低迷、ウクライナ戦争による資源高、そして、円安による購買力の低下という3つの経済難が一気に押し寄せているのが日本経済と現状と言えます。
なんでこんなことになってしまったのかと言えば、ロシアのウクライナ侵攻による資源高がガソリン価格やエネルギー価格などの日常生活に直結しているためクローズアップされやすいのですが、外部環境の変化よりは、米国FRBの利上げに対する日本銀行の政策不一致に対するマーケットからの標的化や、原発の稼働停止による安定的エネルギー調達の遅れという「政府の失敗」の側面が強いと思います。
これだけ政策的な対応を怠っているにもかかわらず、本日の新聞報道で依然として岸田内閣への支持率が高いという結果が出ていることに違和感を強く覚えているのですが、現状を良しとしているのが日本国民の総意であるならば、自らの資産を自分で守る資産防衛に注力しないといけないなと思いを新たにしたところです。
経済誌などでは「年収1000万円」が勝ち組(嫌な言い方ですが)か否かの分水嶺であることが指摘されていますが、現状では1000万円でも決して「豊かな」生活は送れないと思います。
何をもって「豊か」とするかは百家争鳴の議論があると思いますが、「私にとっては都市圏で子女教育に要する教育投資を自分でも行える水準」がひとつの目安になっています。
ICTの発達により、これからの時代に求められるスキルが変化するとともに、グローバルな競争が子供たちの世代では待っているわけですが、学習のあり方とコストも大きく変わりつつあります。
このように世界の潮流が大きく変化する中で、コロナ前の議論や政策は既に賞味期限切れになっているのですが、コロナ禍で地方に巣ごもりをしていた人々は、その変化にすら気づいておらず、コロナ前の議論や政策を再開しています。
貧しくなっているのが日本国民のマイノリティではなくマジョリティであることを自覚することにより、強い産業や収益の高いビジネスなどに意識が向くはずなので、まずはそこらへんの意識改革から取り組む必要があるのが日本の現状なのかもしれません。