チームのために毎週配信しているメールに掲載したコンテンツの公開版です。
今週の注目キーワードは「EBPM(証拠に基づく政策立案)」。
Evidence Based Policy Makingの頭文字を取った略称なのですが、Evidenceを「証拠」と訳されているのがわかりにくい部分かと。
ここで言う「証拠」とは「データに基づいて実証された根拠」という意味なのですが、日本の政策現場では、これまで明確な因果関係ではなく、世の中の雰囲気(世論)や政策担当者の経験等に基づいて行われてきたことの反省を踏まえて、改善を促す観点から、この言葉が多用されるようになりました。
実際に、6月16日に発表された「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」(いわゆる「骨太方針」)の中でも、次のように述べられています。
「3.持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化」を図る方法として、「政府による、DXの利活用を通じた行財政の徹底した効率化や無駄の排除、EBPM(証拠に基づく政策立案)を通じた成果につながる賢い財政支出(ワイズスペンディング)の徹底、政策の将来にわたる効果を見据えた動的思考の活用等の取組があいまって、政府の財政赤字が改善していく姿を目指す」と。(情報リソース)
ただ、目指すのは良いのですが、最近の政府による少子化対策の中身などを見ていくと、明快なエビデンスに基づいているとは言い難く、言葉だけが踊っている感を感じるのは私だけでしょうか。
EBPMの思考法は役所内部だけでなく、民間企業にも必要とされることだと考えます。
民間企業の場合はEBPMという言葉が使われずに、「データ・ドリブン」という言葉が近いニュアンスのように思われます。
我々も自らの考えを伝え、主張する際には、常にエビデンスやデータが背景に備わっているのかを意識しながら、仕事に向き合っていきましょう。
なお、データを活用した思考方法(実証方法)について参考になる本として『「原因と結果」の経済学:データから真実を見抜く思考法』があります。
興味のある方は是非。