マキアヴェッリ先生の研究室
Openness, Fairness, and Transparency
01 Regional Revitalization(地域創生)

2023Sep.18 Weekly Report:地域経済サーベイ

チームのために毎週配信しているメールに掲載したコンテンツの公開版です。

Redesign さらば安売り、観光で稼ぐ(上) 道内旅行、滞在型シフトへ

9月11日から北海道で始まった体験型観光「アドベンチャートラベル(AT)」の国際商談会に関する記事。

アドベンチャートラベルとは「自然」と「アクティビティー」「異文化」のうち2つ以上の要素を備える旅行を指し、欧米を中心に注目を集め、世界市場は70兆円規模とされています。

従来の周遊型から高単価の滞在型へ切替えを促す取組のようですが、他方で付加価値の高い宿泊施設の整備という課題が浮き彫りになります。

北海道の観光課題は、インバウンドの旅客単価にあるようで、「インバウンド1人1泊あたりの旅行消費単価(19年、観光・レジャー目的)でみると北海道は1万9798円。2万4000円弱の大阪・福岡のほか2万1000円を超える東京・沖縄を下回り、愛知とほぼ同水準だ」と指摘されています。

新しい旅行スタイルの動きを如何にビジネスに繋げていくのかというのは我々にとっても共通の課題であると考えます。

 

山小屋 天上レストランに 御嶽・白馬、ぜいたくディナー

私の趣味が登山であることは皆さん御承知置きのことと思いますが、今夏もいくつかの山を登る中で気付いたのは、多くの山小屋が営業停止(廃業)していること。

コロナ禍で登山客が激減し、経営に行き詰まったり、再開しようとしたところ、人手不足でアルバイトと集まらなかったりと苦境が続いているようです。

簡素な食事に雑魚寝とひと晩体を休めるだけのイメージが強い山小屋ですが、ぜいたくな食事や施設リニューアルで登山客の裾野を広げようという取組がこちらの記事。

「山小屋は天候が悪いとキャンセルされることが多い。『天候が多少悪くても大窓から大自然を感じられる。山小屋を泊まるだけの場所から滞在する場所に変えたい』(市川さん)。客室を減らしてでも満足度を上げる戦略だ。料金も1000円値上げして1泊2食付きで1万4千円に。売り上げはコロナ前を上回る。」と営業効果も徐々に出ている様子。

山頂付近で快適に過ごすためには余分な支出を厭わない層もあると思いますので、その層に対して差別化されたサービス提供することは、山小屋と登山客の双方にとってWin-Winの取組になるのではないかと思います。

 

 

「グリーン万博」準備加速 横浜・山中市長、任期折り返し

2025年の大阪万博にばかり耳目が集まっていますが、2027年に横浜で計画されている万博があるということを知った記事。

「2027年国際園芸博覧会」(GREEN×EXPO2027)で、「米軍から返還された上瀬谷通信施設跡地(旭区・瀬谷区)で、27年3月19日から9月26日まで約6カ月間開かれる。25年の大阪・関西万博に次いで国内で7回目、東日本では1985年のつくば科学万博以来となる」催しです。

国際園芸博としてシンボルとなるガーデンや庭園、世界各国の花や植物が出展されるらしく、今後、横浜市内の企業にも参加を促し、万博を新産業創出と経済成長につなげる狙いですが、具体的な絵姿はこれからというところ。

こちらの動きについては引き続きウォッチしていきたいと思います。

 

アシックス、環境対応走る 新スニーカーCO2世界最少

サステナブルな製品開発はここまで来たかと感じた記事。

原料の調達から輸送、廃棄も含めた製品サイクル全体を通じたCO2の総排出量を示す「カーボンフットプリント」が1.95キログラムと、シューズメーカーのアシックスが、2023年9月時点で排出量を開示する市販シューズの中で最も少ない製品を販売しました。

「衝撃を吸収するクッション材にあたるミッドソールでは、排出量が実質マイナスとみなされる『カーボンネガティブ』を実現した。サトウキビなどを原料とした複数のバイオベースポリマーを活用し、植物が生育段階で吸収するCO2の量が部材生産過程で排出する量を上回った。アッパー部分や中敷きには、水の使用量が少なく済むソリューションダイという手法で染色したリサイクルポリエステルを採用した。」と、サプライチェーン全体での排出量を把握しながら、最小化する地道な取組を行ったことを伺わせます。

「アシックスが外部委託して22年にランナーを対象に実施した調査では、69%が排出量表示のある製品を求める姿勢を示した」というユーザーの意識を踏まえた取組で、消費者の意識は見えないところで変化していることを感じました。

 

白馬で医療ツーリズム

県外から訪れた人工透析患者が治療を受けながら白馬での滞在を楽しめるようにするための取組をリゾート施設が主体となって始めたことを紹介する記事。

「村内にあるホテルなど3つの宿泊施設が患者の滞在先となり、透析設備のある村内診療所で治療を受けながら白馬村の自然やアクティビティーを体験できる」体制を構築したようです。

人工透析患者は、週に数回何時間にも及ぶ人工透析を受ける必要があり、極端に日常生活における移動や旅行が制限されます。

移動・旅行先に人工透析施設があるか否かは生命にも直結する問題なので、かかりつけの病院や医師からの太鼓判があることは安心・安全な旅行につながる良い取組だと思いました。

ABOUT ME
マキアヴェッリ先生
フィールドサイエンティスト。 地方自治体、航空会社、デジタル企業とキャリアを重ねながら、地域課題・社会課題の解決につながるプロジェクトのマネジメントを推進中。 #PPP #PFI #価値共創 #地域創生 #カーボンニュートラル #サステナブル経営 #パーパス経営 #EBPM #ソーシャル・イノベーション