チームのために毎週配信しているメールに掲載したコンテンツの公開版です。
今週の注目キーワードは「SECI理論」。
今期のMBOでスキルトランスファーがひとつのテーマになっていますが、個人に帰属する経験やノウハウといった知識は、どのようにして組織に移転され、共通の知識として活用されるようになるのかを明らかにした理論となりますので、皆さんも知っておいて損はしないかと。
知識経営(ナレッジ・マネジメント)を語る際には、必ず取り上げられる有名な理論でもありますので、更に理解を深めたい方は、野中郁次郎・竹内弘高『知識創造企業』を手に取ってみてください。
組織の知識創造プロセスであるSECIモデルは、共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、連結化(Combination)、内面化(Internalization)と進み、共同化を起点に、共感を通じて個人の暗黙知から集合知への転換が起こるというモデルを意味します。
SECIモデルの根幹は、組織内における個人と個人、あるいはより多くの人たちの間での、暗黙知と形式知のダイナミックな相互作用で、それぞれのプロセスにおける頭文字を取ってSECIモデルと呼ばれます。
①共同化(Socialization):暗黙知→暗黙知
個人が他者との直接対面による共感や、環境との相互作用を通じて暗黙知を獲得する
②表出化(Externalization):暗黙知→形式知
個人間の暗黙知を対話・思索・メタファーなどを通して、概念や図像、仮説などをつくり、集団の形式知に変換する
③連結化(Combination):形式知→形式知
集団レベルの形式知を組み合わせて、物語や理論に体系化する
④内面化(Internalization):形式知→暗黙知
組織レベルの形式知を実践し、成果として新たな価値を生み出すとともに、新たな暗黙知として個人・集団・組織レベルのノウハウとして「体得」する
仕事において議論や資料作成が必要であるのは、個人の作業だけで完結していては、①の共同化の入口に止まっていて、②から先にある表出化や連結化などのプロセスに進まないので、いつまで経っても組織としてのナレッジが蓄積されないことになります。
逆に、マネジャーとしては、スタッフが作成した資料や提供されたデータ・情報に基づいて、物語や理論の体系化を図り、新たな価値の構築が必要になるわけです(③と④のプロセス)。
組織の経営資源としてヒト・カネ・モノ・情報が重要と言われますが、ナレッジ・マネジメントはこのうちの情報をより積極的に活用するためものであり、潤沢なヒト・カネ・モノがない、我々の部署にとっては、情報の質・量を高めていく必要があります。
個人に帰属するナレッジを、如何に組織として活用するのかという視点をもって、仕事に取り組んでいきましょう。