信じられないが現実でした
本日17:11に届いたメールに目を疑いました。
メールのタイトルは「訃報」。
去る9月24日17時40分、ぐっちー編集長こと山口正洋氏が逝
去されました。
享年59歳、死因は食道癌でした。
葬儀は29日にご家族のみでしめやかに執り行われました。本人及びご家族の希望により皆様には逝去後すぐにお伝えすることができ なかったことをここにお詫び申し上げます。
なかなか信じることができずに、ぐっちーさんのブログを確認しましたが、送信されてきた内容と同じ文章が掲載されていました(→2019年9月29日「ぐっちー編集長こと山口正洋氏、逝去」)
最期に向かう姿勢が生き様を表す
定期購読していたぐっちーさんの有料メルマガが一時休刊になったのが9月22日。
そして、9月26日に「特別付録」と題して、アメリカ経済のマクロ分析をするために必要な情報ソースリストが提供されてきました。
ぐっちー編集長曰く「結論的にはこれを追いかけていればアメリカ経済のマクロに関してはほぼすべてのことがわかる」というリストになります。
毎週月曜日の朝6:30に配信されてきたぐっちーさんのアメリカ経済分析『週刊ぐっちーさんの経済ZAP!!』が、これからは読むことができなくなりました。
ただ、そんな事態に陥った読者が困らないようにと、最後の力を振り絞って残された読者のために残していったのが、この情報ソースリストだと思うと、思わず涙が溢れてきます。
共通の知人からの話によれば、亡くなる2日前までモルヒネを射ちながら、パソコンのキーボードを叩いていたと。
最後の最後までプロフェッショナルたる姿勢を見せ続けてくれました。
ぐっちーさんとの御縁
私がぐっちーさんと知り合ったきっかけは、「ビジネスセンスに溢れた地方公務員がいるので紹介したい」という共通の知人の紹介によるものでした。
当時の私は40歳前で、貿易関係の業務に携わっていたのですが、「ぐっちーさんって何者や?」くらいの感覚で会食をさせていただきました。
しかし、実際に会って話してみると、非常に気さくな方で、事業計画上の数字だけでなく、そこに関わる人々や、事業の地域経済へのインパクトなどを多面的に見ながら、自らも直接関与していこうとする姿勢に、「投資銀行家」なんていう胡散臭い職業に対する偏見もたちどころに消失しました。
また、豊富な海外ビジネス経験やビッグプロジェクトに関わってきた実績を踏まえた話は、私にとっても魅力的かつ刺激的な話で、お会いしたその日に彼の著書をまとめて購入したほど。
その後も、何度か会食やメッセージのやり取りをさせていただきながら、ぐっちーさんと一緒に仕事することになったのが、2016年1月の「鹿児島県・シンガポール交流会議」に関連して、現地開催したレセプション。
レセプションを単なるイベントで終わらせず、現地シンガポール人に対して大きなインパクトを与え、継続的に鹿児島県産品の輸出拡大が図れるスキームを構築することを目標にしました。
当時の連絡・調整については、ぐっちーさんを相手に、半年間で79件のメールをやり取りしながら、時にはお互いのイメージを議論し、時には厳しい交渉をするという、今思えば得難い経験をさせていただきました。
このような甲斐もあって、レセプション自体は大きな反響を呼んで、成功裏に終えることができましたが、私にとっては、ぐっちーさんがブログの中で2回も取り上げて、評価をしてくれたことが大きな励みになりました。
また、シンガポールについては鹿児島県のほかにも複数県からいろいろな打診があったのですが、こちらで対応する我々であったり、シンガポール企業であったりにどういうメリットがあるのかが全く意味不明なものが多く見受けられ、我々としてもお手伝いのしようがない・・・というものがほとんどでした。
それでは真面目に取り組んでくれるシンガポールの企業もありませんし、ましてシンガポール政府の協力を得るなんてことは無理ですよ、と申し上げるのですが、なかなか分かって頂けませんでした。
鹿児島県の場合そのあたりの目的意識=鹿児島の物産をアジアで売って、サステイナブルな事業として(ここが大事です!!)鹿児島県経済の発展に寄与したい、というものが極めて明確で、その意味でこちらのサステイナブルな事業についても考慮してもらうことができるので受け入れやすく、極めて珍しいことですが、このあたりは役人としてのかなり属人的なものがあったかな、という気は致します。これなら事業として我々が取り組めるわけですね。
レセプションも、通常日本の方は通り一遍のホテルの宴会場などを使ってしまうのですが、そこは一工夫しましょう、ということで、シンガポールで最も高い場所にあるレストラン、IONオーチャードの55階、SALT&SKY BAR を推薦し、前例がない、などとおっしゃらずに積極的にプロモーションしようということでここに決められました。シンガポール人でもここにレストランがあることは知っていたが、来たことはない、と言わしめる場所でして、そのプロモーションバリューは極めて大きいのです。料理人も一流ですし、ここでおいしい鹿児島県産のものを使ってゲストのみなさまに料理を楽しんで頂こう、というのは大変すばらしいプロモーションになります。
どんなにマネジメントやマーケティングを知識として習得しても、やはり実戦経験が乏しい私にとって、百戦錬磨のぐっちーさんの助言というのは非常にありがたいものがありました。
私が最後にぐっちーさんとメッセージのやり取りをしたのが、昨年の2月頃で、空港の民間委託に対する外資系企業のスタンスに関する意見交換。
投資銀行家という職業でありながら、地域の活性化、そしてサステイナブルな事業運営というものに並々ならぬ関心を抱いていたぐっちーさんにとって、空港の民間委託はどのように映るのかを尋ねてみました。
空港の民間委託の本質は、地方を如何に活性化するかが問題なのでありまして、それも鹿児島県全体にプラスが広がるような方向が見つかればベストですね。
外資系企業の食い物にならないようなポリシーをもった取組を是非進めてください。
貴方なら大丈夫!
私と同じ視点と感覚からの回答でしたので、自分の取組の方向性に確信を強くしたことを覚えています。
しかし、これが最後のやり取りになろうことは当時は想像だにしませんでした。
「一寸先は闇」だからこそ自分らしい生き方を
今回の訃報があまりにも唐突であったし、訃報に接する2週間前まで、ぐっちーさんが食道癌であることなど、露も想像しなかったからこそ、色々と考えさせられました。
闘病期間中であったにもかかわらず、それを全く感じさせないメルマガのクオリティ。
自らの先が見えた時にも、忘れずに最後まで行った、読者や関係の方々に対する気配りや心尽くし。
御本人に悔いがあったかどうかは確かめる術はありませんが、残された日々で、やりきったという思いを抱いて逝かれたのだと信じています。
私の本音を言えば、ぐっちーさんに御報告したい件もあり、そして、もう一度一緒に仕事をしたかったという思いが残っています。
ぐっちーさんの思いや思想がたくさん詰まった書籍や記事は多数残されているので、それらを読み返しながら、去りし故人が愛飲していたシャンパーニュ・ワインを飲んで、故人を偲びたいと思います。
ぐっちーさんの書籍リスト
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