私のような凡人は新しいアイディアを生み出すために、常に新しい方法論を探求しています。
学生時代に美術や音楽を嗜好することもなく、ひたすら体育会系であった私ですが、これからのビジネスは「デザイン思考だ!」とか「アート思考だ!」とか言われると、年甲斐もなく、かつ、無節操にデザインやアートを学び始めるわけです。
とはいえ、三十歳を過ぎてからの手習いということで、一人前になるどころか半人前のままで未だにデザイン思考やアート思考を使いこなせてない現状にあります。
そんな時に『Harvard Business Review』の裏表紙にある広告欄で、ふと見掛けたのが『SF思考』と題する書籍。
「SF」という2文字に、別称「ガンダムおじさん」を名乗る自分としては、「読まないわけにいかない!」と、ついついAmazonをポチってしまいました。
ビジネスの望む未来を「SF思考」で引き寄せる | SFでビジネスが跳ぶ! | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/bj07z91Oxd
今、読んでます。
自分に一番しっくり来る思考法かもw#ガンダムおじさん— マキアヴェッリ先生 (@EPYON_FELIX) September 23, 2021
この類の思考法に関する書籍のポイント(読者が知りたい点)は以下のような点だと思うので、それに即して本書を概観してみます。
現実から虚構に発想を飛ばし、それをまた現実に引き戻して着地させる。虚構と現実を行き来しながら妄想し、それを実現していく。
米国や中国ではSFに注目が集まりビジネスに活用する動きが本格化している。SFは、企業のパーパスづくりやイノベーション誘発に有効である。
「SF作家の思考法:斜め上の未来をつくる」×「SF編集者の思考法:斜め上の未来といまをつなぐ」×「SF読者の思考法:斜め上の未来をたぐりよせる」という、異なる3者の視点を組み合わせて考える。
本書を読んだ感想を率直に申し上げると「安心した」というひと言に尽きます。
なぜなら、私の仕事に対するモチベーションというか原点にあるのは、常に『機動戦士ガンダム』や『銀河英雄伝説』といったSF作品にあり、SF作品の中で描かれた世界観や社会・制度を理解するために、現実の歴史や理論を学んできたこともあり、それが邪道ではなく正道であるとお墨付きをもらえたわけですから。
今、各自治体やコミュニティの単位で「未来ビジョンづくり」が流行していますが、それを読んで面白くない(ワクワクしない)のは、現実の課題を立脚点として、せいぜい今後10年くらい先の未来しか語っていないからだと考えます。
ビジョンや計画は策定することが自体が目的ではなく、その後のアクション(実践)が重要だとすれば、出来上がったビジョンに思いや情熱が注ぎ込まれないと意味がないと考えます。
その時に、悲観的になりがちな現実の課題からスタートするのではなく、想像の翼を広げた50年後とか100年後の未来からバックキャストをして描いてみるというのも一手ではないでしょうか。
本書では、ビジネスで多用されるマクロトレンド分析やシナリオプランニング、デザインシンキングなおの他の未来予測手法とSF思考との相違点も説明していますので、SF思考の特徴を理解して使い分けをしたいですね。
粗削りな部分も多々ありますが、多くの可能性を秘めた思考法ということで、今後の期待を込めてレビュー評価は★4つで。
レビュー評価: