以前に京都駅構内で交通広告を目にしてからずっと気になっていた映画『燃えよ剣』を観てきました。
大学時代の自慢と言えば「司馬遼太郎全集の読破」くらいしかない私ですが、司馬作品の中でも『燃えよ剣』は私にとってバイブルとも言える位置づけで、これまでに折にふれて何度も読み返している作品です。
そもそも「新選組」という組織自体が幕末の徒花ともいえる存在であり、武士出身でない氏素性のはっきりしない烏合の衆が、急速に戦闘集団へと変化し、更に、近代的軍隊組織へと転換していったわけですが、その変化の裏には新選組副局長であった土方歳三の存在がありました。
その土方歳三に焦点を当てて、新選組の顛末を立上げから土方の死まで描いた映画作品で鑑賞した感想を以下に記述します。
- 岡田准一の土方歳三がハマりすぎていて、私が理想とする土方像を再現してくれました(世界観を壊さないでいてくれたことに感謝)
- 世界遺産や国宝級建築物60箇所以上に及ぶ撮影で、時代・地域の空気感を再現
- 新選組の立上げから崩壊、そして土方の死まで網羅的にカバーするとともに、重要事件をきちんと取り上げる
- 網羅的に取り上げるが故に、時間制約上、個々の人物や事件や掘り下げが不十分(予備知識や副読本での補完が必要)
- 土方とお雪との関係性が淡泊であり、原作小説における透明感のある最後の別れが再現できてない
- 土方が新選組という組織に導入した組織マネジメントや軍隊規律の評価がわかりにくい
残念な点も多少はありましたが、映画娯楽作品としては、リアリティ溢れる殺陣や迫力ある戦闘シーンなどが見応えがあって、大画面スクリーンで観る価値はあると思います。
私も、本作品を観て、土方が活躍した京都、そして転戦していった会津、函館を改めて訪問したくなりました。
時代劇ファンや新選組マニアは鑑賞して損はない作品だと思いますので、是非、御堪能ください。