マキアヴェッリ先生の研究室
Openness, Fairness, and Transparency
05 Travel(旅行記)

「辺境の地」アマルフィ

先日、薩摩半島の南に位置する笠沙で1泊2日の旅行をしました。

旅行といっても、現在、手掛けるプロジェクトの合宿勉強会の開催だったのですが、鹿児島市内から自家用車にて1時間半かかりました。

勉強会中にも、このロケーションと移動時間が話題に上がり「笠沙は陸の孤島だから・・・」という自嘲気味の意見も。

そう話す方は、トンネルの開通により、鹿児島市内からのアクセスが20分程度短縮されることをしきりに強調します。

しかし、私から見れば、生活者の視点では20分の短縮は大きな変化であっても、旅行者にとっては、旅行に要する準備時間やその他交通機関による移動等を含んで判断するため、20分程度の短縮では体感的にほとんど意味がないと考えます。

それよりも、利便性の向上により、中途半端な観光地化が進むことで、本来の魅力が失われてしまう可能性が大きいです。

 

辺境の地だからこそ稀少価値は高まる

このように確信しているのは、私自身が、イタリアにある有名リゾート地であるアマルフィを何度か訪問しているから。

交通アクセスの点で言えば、メチャメチャ不便です。

最寄りの駅はサレルノ駅もしくはソレント駅。

しかし、いずれの駅からもバスで1時間以上かかります。

しかも、観光客向けではなく、住民向けの路線バスなので、当然のことながら、スーツケースなんて持っていたら、他の利用者に迷惑を掛けます。

私も初訪問のときは事情を知らずに、鉄道+路線バスの組合せで、アマルフィを訪問。

海岸沿いのくねくね曲がった道を、2台の車が離合できるかどうかのスペースをかい潜りながら、巧みな運転技術で進むものですから、思い切り車酔いしました。

これに懲りて、次回以降は往路・復路ともにハイヤーを手配(片道150€≒18000円)することにしています。

 

労力・時間・カネのかかる観光地になぜ訪れるのか?

アマルフィの魅力は、世界屈指のリゾート地になっているにもかかわらず、他方で、住民生活との接点が多々あること。

街の大きさは1日もあれば、ほとんど歩き尽くすことができるくらいのコンパクトシティです。

街中を歩いていると、学校帰りの子どもたちや、商店の前で長い立ち話を続ける婦人たちの姿を見掛けたりと、生活と観光との距離感が近くて、他の観光都市であるローマ・フィレンツェ・ヴェネツィアなどとは違った雰囲気を感じます。

ローマ帝国亡き後に地中海で跋扈した海賊対策のため、切り立った崖に街を造り、防衛しやすいように細い坂道を街全体張り巡らせているため、街全体があたかも迷路のような印象を受けますが、これ自体がアマルフィの魅力とも言えます。

このように不便な場所・地形なので、地域住民にとっても、生活必需品である自家用車の駐車などには苦労しているようで、狭い道の両脇には路上駐車(しっかり縦列駐車)を多々見掛けます。

 

自らの地域で誇れるものを確立する

現地のレストラン(リストランテ)に行き、オーナーシェフに「ここでの生活は楽しい?」と尋ねたことがあります。

すると、「お前のような日本人がわざわざ時間とお金をかけてやって来るんだ。そんな素晴らしいところに俺は住んでいるんだよ!」と自信満々に回答されました。

「あれがない」「これがない」とないものねだりで、隣町にハードが整備されたら、「おらが街にも」という感じで、差別化ではなく、均質化を図ろうとする、日本の地域振興のあり方に疑問を感じていた私にとっては、アマルフィのような街づくりのあり方こそが、日本の地域が進む道ではないかと考えます。

ABOUT ME
マキアヴェッリ先生
フィールドサイエンティスト。 地方自治体、航空会社、デジタル企業とキャリアを重ねながら、地域課題・社会課題の解決につながるプロジェクトのマネジメントを推進中。 #PPP #PFI #価値共創 #地域創生 #カーボンニュートラル #サステナブル経営 #パーパス経営 #EBPM #ソーシャル・イノベーション