長寿番組『小さな村の物語 イタリア』
毎週楽しみにしているTV番組があります。
それはBS日テレで放送されている『小さな村の物語 イタリア』です。
この番組のコンセプトは、ホームページに掲載された次の文章に凝縮されています。(→番組公式サイト)
第1回放送が2007年で、今年の4月6日には300回目の放送を数え、10年以上続いている息の長い番組でもあります。
スローシティとイタリアの村
イタリア都市研究の第一人者たる陣内秀信は、「スローシティ」について次のように述べています。
グローバリゼーションの象徴、アメリカ的なファーストフード運動に対抗すべく登場したスローフードは、いかにもイタリアらしい文明批評の文化運動だ。地産地消を目指すこの運動とともに、都市周辺の農地が重要視され、田園の価値が認識された。その動きは、まちづくり全体にも及び、「チッタズロー」(スローシティ)と呼ばれる。本物の食文化と同様、土地の自然、歴史、文化、生活のあらゆる資産を掘り起こし、現代的に価値を加えて、そこにしかない豊かな暮らしと個性的な地域づくりを示現しようとするものだ。(陣内秀信[2010]『イタリアの街角から:スローシティを歩く』, p10.)
『小さな村の物語』の魅力は、グローバリゼーションによる画一化・均質化とは正反対の動きである、イタリアの地域における差別化・多様化の動きを追っていることにあると考えます。
とはいえ、その差別化・多様化の実現に当たって、その地域住民は受動的な存在ではなく、能動的かつ積極的に自らの地域のあるべき姿を追求する存在でもあります。
『小さな村の物語』では、そのような地域住民の姿にフォーカスが当たられていますし、島村菜津『スローシティ:世界の均質化と闘うイタリアの小さな町』でも、その運動を主導したリーダーの多くのインタビューが掲載されています。
決して他の地域の猿真似ではなく、自らの哲学とポリシーをもって、地域づくりに取り組む姿というのが印象的です。
『小さな村の物語』BGMとカンツォーネ
『小さな村の物語』の魅力は、もちろんイタリアの美しい田園風景であったり、自然景観であったりするわけですが、BGMとして流れる音楽も素晴らしいものがあります。
何やらイタリア語で歌っているようなので、十分に深く理解はしていなかったのですが、何度も番組を観ていると、次第にその音楽に惹き込まれていきました。
カンツォーネといって「イタリア語では単に歌を指す単語あるものの、日本国内においては主に19世紀末から20世紀初頭に書かれたイタリアの大衆歌曲、特にナポリのもの(カンツォーネ・ナポレターナ)を指すことが多いこの他、1960年代~1970年代に日本で流行したイタリアのポップスのこともカンツォーネと呼ばれる」というのが、Wikipediaの説明。
番組の中で使用された楽曲をまとめたアルバムが、発売されたので買いました。
番組オフィシャル音楽選集BOXが完成!イタリア企画CD史上最強の5枚組、計100曲収録!
という感じで、イタリアン・ポップスとカンツォーネ100曲が収録されています。
「観光」という文字には「観る」という文字が含まれているため、我々は専ら視覚情報に頼ることが多いのですが、ひとつの文明や文化を理解しようとするのであれば、視覚情報以外の情報も意識する必要があると思います。
特に、音楽はその民族の精神や情感が込められているものが多く、音楽を通じて理解を深めるというアプローチも有効ではないかと考えています。
そういうわけで、イタリアン・ポップスとカンツォーネについて初心者の手習いを始めることにします。
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