40年間、毎週の締切に追われながら、常にアイディアを出し続け、それをアウトプットして、更に、多くの消費者に受け入れられ続ける。
考えるだけでも相当なプレッシャーを覚えますが、それを実践してきたのが、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(通称『こち亀』)の作者である秋本治氏。
40年間の連載にひと区切りをつけたこともあり、御自身の仕事術を明らかにした本が出版されたので読んでみました。
読んだ感想の第一としては…「秋本氏にとっては漫画家という天職に恵まれたことが不可能を可能にできた要因」ということ。
もちろん、モチベーションを維持するためのセルフマネジメント術や、ラジオを聞いて新ネタの情報を取り込みながら原稿を仕上げる仕事術など、アイディアを生み出し、活用するための参考になる作法が多々示されてはいます。
しかし、前人未到の記録に到達するための小さな積み重ねを40年間も継続するためには、「漫画を描くのが好き」という、自分に合った仕事に遭遇できたことが大きいような気がします。
でなければ、どれほどの高額報酬が得られるとしても、どれほどの見返りが大きかったとしても、40年間もその欲望を維持し続けることはできないでしょうから。
そういうわけで、仕事を効率的にこなしたい、あるいは、創造的な仕事をしたいという人には読んで得られる知見はあまりないかもしれませんが、『こち亀』好きな方、あるいは、自分が没頭できる仕事を見つけることができて、長い時間を掛けてでも達成したい目標がある方にはお薦めできる本です。
レビュー評価:
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