マキアヴェッリ先生の研究室
Openness, Fairness, and Transparency
06 Career Strategy(キャリア戦略)

10年後の君へ:スキルの客観化とレビュー

10年後の自分自身の将来像を考えることは、これまでのキャリアの中で培ってきた自らのスキルや経験を評価・分析する機会ということだけでなく、今後のキャリアのために必要なスキルや資格を明確にするきっかけになると思います。

公務員の人事制度は、「制度」という名称が与えられているだけあって、程度の差こそあれ、定期的な昇給や一定の年齢に達した場合の昇格が担保されています。

もちろん、これは公務員だけでなく、一定の規模を持ち、官僚主義的な要素が入り込んでいる大企業においても見られる現象ではあるので、大規模な組織を安定的に運営するために必要な内部統制の一面とも言えるのでしょうが。

ただし、公務員は終身雇用が前提となっていて、例えば「10年後に課長になる場合」と組織内での一定の役職に就いていることを想定しながらキャリアを考える必要があります。

そこでは、仕事の内容如何よりも、ポストに求められるスキルや経験は何かをイメージして備えておくことが重要とされています(定期人事異動があるため、事業領域ごとの専門性や経験・ノウハウは特段重要視されない)。

これに対して、民間企業であれば、「そもそも自社の事業領域が10年後も存在しているのか」「10年後に同社で働いているのか、それとも、転職しているのか」あるいは「10年後に起業を目指すのか」など、外部環境の劇的な変化を踏まえて、自らの市場価値を最大化するためのキャリアを考えなければならないわけです。

自分の想像力の及ばない社会や消費者の変化が、自社企業の経営戦略やマーケティングを一昼夜のうちに無効化してしまうことさえ起こり得るため、会社がポストや仕事を提供してくれる保証は全くありません。

言い換えれば、公務員であればこそ、将来的なキャリアにあまり思い悩むことなく、目の前の仕事に一生懸命取り組んでさえすれば良かったわけで、組織から離れて、一人の個人として「10年後の自分」を社会の中でシビアに見つめ直す機会はほとんどなかったと言えます。

  • 「あなたが我が社に対して提供できる価値は何ですか?」
  • 「あなたの適性はどこにあり、我が社のどのプロジェクトでそれを活かせますか?」
  • 「あなたの10年後のキャリア・ビジョンを教えてください。引き続き我が社で働き続けますか?」

これらの質問に答えるためには、知識だけではなく、自らの身体と五感を通じて磨き上げてきた経験や感性を、自らの中で言語化し、説明できる水準に引き上げる必要があります。

まさに『王様達のヴァイキング』で書かれていたような、自分自身の中に眠っている「宝」を掘り起こすことで、自分自身の人生の価値を自分で決定していくことになります。

自らのスキルや経験を言語化するためには、職務経歴書を作成してみることがお薦めで、ひとつひとつのプロジェクトの達成事項を整理し、自らの貢献や成果を丁寧に紐解いていけば、自分の中に蓄積された知識や経験は明らかになります。

その上で、10年後における自分自身の将来像を、過去の自分自身のキャリアの延長線上に描くのか、それとも、そこから離れて新たなキャリアを描くのか、というキャリアの選択を行っていくことが重要です。

公務員制度におけるキャリアデザインに問題があるとすれば、このようなキャリア選択の機会がほとんどなく、組織側の都合や事情でいつの間にかキャリアのレールが敷かれていることにあると思います。

自分自身の人生を自らがコントロールしたいのであれば、たとえ手間暇かかっても10年後の将来像を見据えたキャリアデザインは考えておくべきだと思います。

 

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マキアヴェッリ先生
フィールドサイエンティスト。 地方自治体、航空会社、デジタル企業とキャリアを重ねながら、地域課題・社会課題の解決につながるプロジェクトのマネジメントを推進中。 #PPP #PFI #価値共創 #地域創生 #カーボンニュートラル #サステナブル経営 #パーパス経営 #EBPM #ソーシャル・イノベーション