本日は定年退官後も、引き続き、地域住民と一体となった防災や地域振興などの活動に取り組んでいる大学教授との懇談を行いました。
SNSを通じて様々な活動を報告している友人も少なくないため、彼らの活動とその方の活動との「違い」みたいなものを漠然と感じてはいたのですが、それを自分の中での論理として落とし込めていなかったところ、2時間の懇談の中でようやく腑に落ちました。
SNS上で報告される多くのイベントや活動は、そのプロジェクト自体が誕生した時点で、SNSにおける関係性を基に、特にスクリーニングされることもなく、「固有のもの」「個性的なもの」として取り扱われます。
そして、プロジェクトの目標や成果を図る指標、レビューのタイミングなどは議論されることなく、イベントや活動を無事に仕上げることが最大の成果とみなされる傾向にあるようです。
これに対して、その大学教授が仕掛けてきた活動は、自分が見も知らぬ人々との間の関係構築から始まり、更には、全国無数にある類似事例の中でも、「特別である」ための差別化を意識しながら、活動の成果を社会に還元することまで視野に入れて、極めて戦略的に物事を進めているのが特徴的です。
なぜこのような活動が成立したかと言えば
- 見も知らぬ他者にプロジェクトに関わってもらうためには、明確な目標と具体的な利益を示す
- プロジェクトに必要な資金を獲得するため、他の企業や団体が行っている事業に勝てるコンセプトを打ち出す
- ひとつのプロジェクトの成果が、次のプロジェクトの受注につながるので、成果の出し方、見せ方を意識する
などの「競争」を意識した取組に重点を置いていることが十分に推察できました。
翻って、鹿児島のNPOをはじめとした「社会貢献」を掲げる企業・団体は、自らの会社や団体が取り組もうとしている活動が、競争に晒されていて、その中でも卓越性 “excellence”を 確保できているかの検証が不十分ではないかと考えています。
SNS上で大々的に盛り上がるイベントよりも、静かに地道に積み上げているプロジェクトの方が、この「地域間競争の時代」には怖い存在で、もっと注意を払う必要があると考えます。