マキアヴェッリ先生と言えば、新選組のファンであり、その中でも土方歳三が大好きなので、年末年始にかけて新選組に関連する書籍を数冊読みました。
新選組が幕末の京都で名を上げた事件として「池田屋事件」が挙げられます。
この事件は、旅籠・池田屋に潜伏していた長州藩・土佐藩などの尊王攘夷派志士を、近藤勇率いる新選組が襲撃した事件として歴史上有名な事件です。
寡兵であった新選組が、多数の志士グループを斬り伏せて、その実力を一躍天下に知らしめたのものというのが歴史上の解説であるわけですが、数冊の書籍を読んでいくうちに、これは単なる武勇伝とするわけにはいかないなと。
この事件が持つ重みというのは、多摩出身の農民で構成された武力集団が、江戸幕府が長きにわたり作り上げてきた社会秩序の上位ヒエラルキーに当たる武士集団に対して実力行使に及んだという、まさに時代の変化の象徴たる事件ではなかったのか。
国家や社会が作り上げてきたシステムやルールを、ある個人が明示的に破壊し、新たな将来像や体制を作りだしてきた歴史的事例として、真っ先に思い付くのはユリウス・カエサルのルビコン渡河(「賽は投げられた!」で有名なエピソード)です。
池田屋事件についても、士農工商という厳格な身分社会で絶対的な存在と思われていた武士も、決して不可侵の存在ではないことを明らかにしたと言う意味では、新選組は池田屋事件でルビコン川を渡ったと言えます。
ただ、本来は徳川幕府を護持せんがために組織された新選組が、自らの存在意義を証明するための行動により、かえってその秩序を乱すという結果につながることは皮肉ですが、長州藩の奇兵隊をはじめとして、戦争技術の変化、それに伴う戦闘のあり方が根本的に変わり、実力主義の世の中になりつつあった幕末では、抗うことのできない時流だったのかもしれません。
組織論の観点から新選組を研究してみると、まだまだ面白い論点は多数発見できそうなので、引き続き、新選組についてはサーベイしていきます。
年末年始に読んだ新選組関連の本