マキアヴェッリ先生の研究室
Openness, Fairness, and Transparency
01 Regional Revitalization(地域創生)

2023Sep.26 Weekly Report:地域経済サーベイ

チームのために毎週配信しているメールに掲載したコンテンツの公開版です。

エゾシカ肉商品化、獣害対策に 困り事解決通じ地域創生

ANAあきんど釧路支店の取組が紹介されていた記事。

エゾシカによる獣害被害対策のため、ボロネーゼにキッシュ、マーボー豆腐などの鹿肉の商品化や自社のふるさと納税を通じた提供、獣医師と連携した保全活動の最前線と現状を学べるツアー商品企画など、多面的な取組を展開しています。

地域課題に起点を置いた素晴らしい取組だと思いますが、鹿や猪などの獣害被害は全国的な課題であるため、これを単に釧路支店の取組で終わらせるのではなく、全国的な取組に広げて規模の経済性(スケールメリット)を活かせるところまで拡大するような事業構想があるのか。

個人の思いや情熱という属人的要素に左右される取組というのは、スタート時点ではそれで構わないと思いますが、一定の段階では事業化をしていかないと、単なる慈善活動(フィランソロピー)になりがちなので、是非、次の段階を目指した取組に発展してほしいと願います。

 

秋田の新興企業巡る交流ツアー

MTGのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)、MTGベンチャーズ(名古屋市)が主催し、秋田県内のスタートアップと交流し、秋田の魅力やビジネスの可能性を探り、理解を深めるためのツアーを行う記事を御紹介。

MTGベンチャーズの藤田豪社長が秋田市出身という地縁関係がきっかけのようですが、秋田は、最近、洋上風力発電関係で商社やディベロッパーが多数地域に入り込んでいるため、地元経済界も活性化しているようです。

旅行と言えば個人向けの企画旅行だけでなく、地域活性化に向けたビジネスツアーもあるはずで、この類のツアーに対しては自治体側が業務委託料を支払って、地域外から関係者を招聘する(FAMトリップ)ことはしばしばあります。

ソリューションに繋がる企画力や普段からの関係者・関係企業とのネットワークと調整力が必要ですが、旅行事業にはまだまだポテンシャルがありそうなので、アンテナを立てておきたい領域です。

 

魚養殖×野菜栽培に熱視線 首都圏、企業の取り組み増

私も初めて耳にした「アクアポニックス」。

魚の養殖と水耕栽培を組み合わせた農法ということですが、更に、サーベイしてみると、野菜と魚の生産はもちろん、「資源」「エネルギー」「人」「情報」などの循環をつくるというもので、ポテンシャルの大きい分野のようです。

この記事では、ニシキゴイと高麗人参、チョウザメとレタスの事例が取り上げられ、いずれも魚の糞を分解した水で農作物を育てるというのは同じながらも、太陽光電力を使った水循環システムの導入やビニールハウス内での収穫など製造工程の細部で色々な工夫がなされているようです。

アクアポニックスは海外では浸透し始めているが、日本では完全な収益化までいたった事例が少ないとは言うものの、それまで収益化の目処が立ってない事業も、外部経済環境の変化(昨今のエネルギー価格の高騰や為替安による輸入品価格の上昇など)によって、事業が浸透・拡大することもよくある話。

個人的な興味関心もある分野なので、色々とサーベイしたいと思います。

 

岐路に立つローカル線 (木次線) 魅力や価値、演劇に乗せ

地域公共交通機関の危機的状況についてはこれまで再三述べてきたところ。

今回の事例もご多分に漏れず​​島根県松江市と広島県庄原市を結ぶJR木次線の取組についてです。

「利用客増へ23年からラッピング列車が走り始め、スタンプラリーや謎解きイベントなどを実施。6月には「あめつち」が木次線に前倒しで乗り入れる団体向け特別ツアーも催行し、日本古来の製鉄技法『たたら』がかつて行われていた集落などを見て回った。」というように、観光列車、イベント実施、そして企画ツアーというのがどこの在来線でも見られるソリューション・パッケージのようです。

一定の効果はあるものの、一過性で終わっており、これを如何に持続的なものにしていくのかという点をブレイクスルーする必要がありそうです。

ABOUT ME
マキアヴェッリ先生
フィールドサイエンティスト。 地方自治体、航空会社、デジタル企業とキャリアを重ねながら、地域課題・社会課題の解決につながるプロジェクトのマネジメントを推進中。 #PPP #PFI #価値共創 #地域創生 #カーボンニュートラル #サステナブル経営 #パーパス経営 #EBPM #ソーシャル・イノベーション