今月号のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューに松岡修造氏へのインタビュー記事が掲載されていました。
松岡修造氏と言えば、どうしてもバラエティ番組での「熱い男」(いや、「暑苦しい」というべきか」)のイメージがあるため、先入観と予断をもって読んでみましたが、実際に読んでみると、自己のキャリア論としても、部下のマネジメント論としても、更には、子女の教育論としても多くの示唆に富んだ内容でした。
自らテニススクールを経営し、錦織圭選手のような世界トップランカーを育成してきたわけで、優れた経営者であると同時に教育者でもある松岡修造氏の新たな一面を見たような気がします。
今回のインタビュー記事を①自己のキャリア論、②部下のマネジメント論、③子女の教育論という3つの観点から、参考になる松岡修造氏のコメントを整理してみました。
自己のキャリア論
- 失敗の原因から目を逸らし、誰かに怒りを向けたり、批判したりすることは、すごく楽で気持ちがいいことなんですが、それでは失敗から何も学ぶことなく、課題を解決して成長するチャンスをみずから捨てているようなものです。
- 環境に操られない最良の方法は、みずから動き出すことです。自分のやりたいことや、やるべきことを見つけて、意志を貫いて挑戦したのであれば、成功したら自信が生まれますし、失敗しても納得感は得られます。いまのように不安定な状況では、そうした気持ちでいることが大切だと思います。
- 自分の存在価値は他人が決めることではないと気づき、自分の価値観で自分自身を認めてあげることができれば、試合に勝てたとか、お金をたくさん持っているとか、お金をたくさん持っているとか、世間や周りの評価とは関係なく幸せを感じられると思います。
- ライバルと同じ人間にはなれない。そこを理解した上で比較すれば、自分の課題が見つかり、そこから武器も見えてきて、もっと頑張ろうと思うきっかけになります。自分を中心に置いて考えることで、必要なものを取り入れようとという発想も生まれると思います
- 課題が見つかっても、自分ができてないことを知って落ち込み、解決ではなく逃避したくなることはあります。僕は後ろ向きの時ほど”WHY”(なぜ?)ではなく”HOW”(どうやって)を意識して自問自答します。
部下のマネジメント論
- ただし、バーンアウトの話の中では語弊がある表現かもしれませんが、崖っぷちの状態を経験できてない人は、トップを狙うことはできません。いまより上を目指す人が、すべてを楽しくできるわけがないんです。肉体的にも精神的に追い込まれて、苦しいことや辛いことを経験し、それを乗り越えた人こそが強くなれると思います。
- やりたくなかったことも、たくさんあります。でも、そのやりたくないことも実は自分のやりたいことにつながっているんです。それをやればもっと上に行ける、目標を達成できるとわかっているから。そう考えると、やりたくないことがあったとしても、それは自分が成長しようとしているサインとして、ポジティブにとらえていいと思います。
- 自分の殻を自分で破る経験をして、そのうえで自己肯定感という自信を持ってもらなわければ、彼らの目標を達成することはできないからです。ただし、追い込み方を間違えると崖から落ちてしまう。
- 自分の殻をいつ破れるかがわかっていれば、努力しやすい。しかし、その時期は誰にもわかりません。目の前に100回叩くと壊れる壁があったとして、何回叩けば壊れるかわからないので99回まで来ていてもやめてしまう。スポーツでも、仕事でも、その繰り返しだと思います。ただ、あれをやっておけば良かったと振り返っても、仕方ありません。結局のところ、いまを生きることが、すべての問題を解決する方法だと考えています。過去を振り返れば後悔したくなりますし、後悔は怒りに変わります。未来を考えれば、誰もが不安な気持ちになる。しかし、いまと真剣に向き合えれば、そこに後悔や不安はありません。
子女の教育論
- その手紙を読めば、たいていの親にとって試合の勝ち負けはどうでもよく、子どもが自分のやりたいことを頑張っているのがすべてだと知ることができるからです。子どもの試合を熱心に応援するのは、よその子供たちよりも優れた選手でいてほしいからではなく、努力が報われてほしいからです。
- 親は自分の言動に気をつけなければいけませんし、子どもは親の価値観に合わせようとする必要はありません。仕事も同じですよね。上司から「会社の価値観はこうだ」と言われて、納得できないことがあっても当たり前です。
- 自分の弱さからは逃げずに、認めて、どうにかしようとして克服しようと頑張るべきだと思います。ただ、克服しよう挑戦した結果として初めてわかることがたくさんありますし、ましてや人と人との関係はどうやっても乗り越えられないこともあります。どんなに頑張っても解決できないのであれば、逃げたほうがいい。
このインタビュー記事は、自分が置かれている立場や状況によって、上記3視点に分類されるコメントが分かれるかと思います。それによって、自分自身の関心や課題と考える分野や課題も明らかになると思います。